
中国越境EC市場動向 2024年版
<目次>
中国越境EC市場規模に関して
経済産業省が令和5年度「電子商取引に関する市場調査の結果」を取りまとめ報告書を公開しました。2023年8月以降は中国においていわゆる処理水問題に起因した風評被害での日本商品の買い控えや、不動産不況から顕在化した経済不況の影響で越境EC市場はマイナス成長する事も懸念されていましたが結果としては日本から中国への越境ECの市場規模は2兆4301億円となり7.7%の成長となりました。
また、下記グラフは中国における越境 EC 市場規模推計値と前年比の変化率を示していますが、2023 年の越境 EC 市場規模は 1,831 億 US ドルと見られ、前年比で 5.1%増加すると推計されている。越境 EC 市場は拡大傾向にあり、今後の予想として、2025 年の同市場の市場規模は 2,149 億 US ドルになるとされており、前年比約 9.2%の増加が見込まれている。
越境 EC の推計範囲は一般貿易品も含まれますので注意が必要です。詳細は経済産業省の資料をご確認ください。
中国越境ECのプラットフォームトレンド
下記グラフは、2017年から2024 年における中国の4大EC 事業者のシェアを示している(2023 年以降は予想値)注目すべき点は3点あると思います。
①2023 年上位 4 位の事業者で全体の88.1%を占めている事。
②アリババグループは 2017 年、61.2%のシェアであったが、2024 年、アリババグループはシェアが 39.6% にダウンすると見込まれている事。
③抖音 | Douyin (中国版TicTok)は 14.7%までシェアを拡大することが見込まれている事。
その他、この資料では言及されていませんが、保税倉庫を使った淘宝(タオバオ)など個人経営店舗のソリューションが整備され売上構成が高まっている点も注目するべきポイントです。
インバウンド消費と越境ECの関連性
報告書の中には「越境ECとインバウンド消費の関連性」に関しても言及があります。
日本貿易振興機構 (JETRO)が過去に実施した訪日経験のある中国消費者へのアンケート調査から、実際に商品に触 れた経験、自分自身の目で確認できた経験、信頼できると認識した経験が起点となり、越境 EC の利用が促進されていると推測している。
旅後におけるリピート購入の受け皿として越境ECが利用されているわけである。
FindJapanはこの点に関して、コロナ前から独自の調査を実施しています。具体的には中国での越境ECでの販売トレンドと日本での免税売上の相関性を調査しました。結果としては非常に高い相関性が確認できています。また、越境ECユーザーと訪日ユーザーは同一である割合も高いことも確認しています。
中国人訪日客は他国に比べ圧倒的に買物代が高い特徴があるため、インバウンド消費対策と越境EC対策のコミュニケーション戦略は統合して構築すると高い相乗効果を得る事ができます。
2025年に向けての中国越境EC戦略
外部環境が後退する中でも圧倒的な市場規模を持つ中国市場を無視することは難しいと言えます。とはいえ現状を精緻に分析をしてリスクが低い戦略構築が急がれています。
その中で越境ECをどの様にとらえるべきかが成功の鍵となると思います。
ブランドがおかれている現状で異なるとは思いますが下記3点ポイントを整理しておきます。皆様の参考になればと思います。
①戦略的商品やブランドを特定し集中的なマーケティングを実施
・中国での許認可コスト・生産コストやロスの低減
・安全保障に関わる分野以外での中国生産は継続
②トラベルリテールと中国越境及び現地販売のマーケティング統合
・インバウンドでの消費者をロイヤルカスタマーと定義しコミュニケーションプランと中国国内販売と連携強化
③大型セールイベントでの売上依存を解消
・W11 など大型セールのROIの低下→平時でのマーケティング強化
・安定的で継続的な売上を確保するため販売先の多様化 →販売と連携したクリエイティブエコノミーへの対応
下記資料は「中国インバウンド消費対策」の資料になります。是非参考にしてみてください。
↓【参考データリンク】