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免税ルール改正はソーシャルバイヤーへ大打撃?

<目次>

目次[非表示]

  1. 1.2026年11月から施行予定の免税制度「リファンド方式」とは
  2. 2.免税ルール改正はソーシャルバイヤーへ大打撃!?
  3. 3.今後の日本メーカーの対応方法は?

2026年11月から施行予定の免税制度「リファンド方式」とは

 2024年の累計での旅行消費額は8兆1395億円、客数は3686万9900人でともに過去最高となりました。その内、買物代金総計は 約2兆3994億円に達しています。今回の免税制度変更はこの数値にどのような影響を及ぼすでしょうか?

(直近の詳細データ↓は下記を参考にしてください)

  中国インバウンド消費動向(24年10-12月) 2024年7-9月の中国人観光客の買物に関する動向を観光庁データに基づきまとめました。 Find Japan株式会社

 現在では外国人旅行者が免税店で商品を購入する際、消費税が免除される「輸出免税方式」が採用されています。つまり、街中の百貨店やドラックストアーなど免税登録店舗でも消費税抜きで買い物ができます。これは、購入時に免税価格で商品を購入できるため、旅行者にとっては便利な制度となります。しかし、一方で日本国内転売や免税の対象である「通常生活の用に供する物品」の範囲を超える購入など不正利用が大きな問題になっていました。
 そこで、2026年11月から、購入時にいったん消費税を支払い、後日、税関で持ち出し確認を受けた後、消費税額が払い戻される「リファンド方式」に移行する方針が税制改正大綱に盛り込まれました。

■リファンド方式による免税の流れ

①免税店では消費税込み価格で販売
②免税店は国税庁の免税販売管理システムに購入記録情報を提供
③免税品購入者が税関で旅券を提示
④税関は免税の可否を判断し、確認結果を登録
⑤免税店は立替消費税の精算処理・確認済みデータを保存
⑥免税店から購入者に返金



・リファンド方式図解 (出展:国土交通省)

リファンド方式図解



■その他免税に関する変更点

 税制改正大綱ではその他免税ルールの変更点として、化粧品・食品・薬など消耗品について免税購入対象者の同一店舗で1日あたりの購入上限額(50万円)と特殊包装を廃止します。
 一方で、税抜き100万円以上の免税対象品は、購入記録情報の送信事項にその免税対象物品を特定するための情報(シリアルナンバー等)を加える必要があります。
 このほか、免税対象品を免税店以外から国外に配送する「別送」を認める取り扱いは廃止となります。ただし、免税店から直接海外に配送する「直送制度」は引き続き、消費税を免除できる見通しです。このような変更によって免税店の事務負担の軽減、旅行者の利便性を向上させることを目的としています。



・免税に関するその他変更点(出展:国土交通省)

免税ルール変更



免税ルール改正はソーシャルバイヤーへ大打撃!?

  2014年に爆買いブームの時に弊社代表が造語として作った「ソーシャルバイヤー」ですが年月を経過してその実態も大きく様変わりしています。少しこの辺を解説します。

 中国人消費者にとって外国商品の購入方法は

【①旅行購入②代理購入③直送モデル④保税区モデル⑤一般貿易 】

の5つに分類されます。

 当時はこの購入手段の中で国土が広大な中国では元々「代理購入」が一般的な商品の購入方法として発達していました。この商慣習は日本人には理解が難しいと思いますが、日本の商品など海外の商品を購入する手段としてはメジャーでした。人気の代理購入者で信頼があり人気になった人はソーシャルメディアの発展と供に微博(Weibo)などにアカウントを作ってKOLとなっていきました。現在では小紅書(RED)や抖音(Douyin)、淘宝(タオバオ)でアカウントを作るのが主流です。また、越境ECのサプライチェーンや法規などのルールの整備に伴って現在では代理購入者はLIVE販売者として活躍しています。影響力をもたないソーシャルバイヤーは限定品の転売や一部の日本への旅行者はお客様の要望を聞いて代理購入を実施しています。

この様な変遷の中で、一番大きくあり方を変えた要因は保税区モデルの整備にあります。個人であるLIVE販売者が活動しやすいように各プラットフォームはアフィリエイト方式やドロップシッピング方式などシステムを改修しています。



■中国人消費者の海外商品購入手段分類

中国人消費者の購入手段


 

 それでは今回の免税ルール改正はソーシャルバイヤーにどのような影響があるのでしょうか?それを理解するためには現在の「代理購入」に対する商品の流れを理解する必要があります。

 下記の図でわかるとおり、ソーシャルバイヤーの商品調達先は日本の免税小売店になっています。ソーシャルバイヤーは当然お客様から手数料をもらっていましたが、厳しい競争の中で日本の消費税還付分が大きな収益源になっていました。この分は大打撃となります。日本の小売店(ドラックストアーや百貨店)も少なからず影響を受けると思います。



■ソーシャルバイヤー(代理購入)の商品の流れ

ソーシャルバイヤーの商品流れ




今後の日本メーカーの対応方法は?

 このような状況下で日本メーカーの今後の中国戦略はどのような対策を打てばよいでしょうか?そのことを理解するには「代理購入」の情報の流れを理解する必要があります。現在では微信(WeCat)のみで活動しているソーシャルバイヤーは情報源にはなっていません。下記図からわかるとおり情報収集場所はメディアやKOLになります。今回の免税ルール改正で日本のインバウンド強化店舗の免税売上には大きな影響がありますが、情報源に対して適切な対応をして中国人消費者が購入しやすい「越境EC」に商品を配荷しておけば問題は解決です。トータルすれば今までよりも良い結果を期待できると思います。



■「代理購入」の情報の流れ

情報の流れ



 

 また、国土交通省が言及している「日本国内転売や免税の対象である通常生活の用に供する物品の範囲を超える購入など不正利用が大きな問題 」の解消は日本メーカーにとっても大変良いことだと思います。

 下記の図は「保税区モデル」の商品の流れをまとめたものですが、メーカーにとって「最悪」な商品の流れである日本のECへの転売が減ることは大歓迎だとおもいます。また、保税区の発展に伴って新たに情報源としても販売先としても力を持っている「個人LIVE販売者」「越境プラットフォーム」への商品配荷強化はインバウンドのお土産需要拡大に大きな効果を生み出すため重要となります。



■保税区モデルの商品の流れ

保税区モデル



記事の内容に関する質問はお気軽に「お問い合わせ」ください。

この記事の図は下記資料から抜粋しています。是非参考にしてみてください。

詳しい資料はダウンロードお願いします

中国マーケティング新戦略202311



↓【参考データリンク】

  令和7年度税制改正 - 国土交通省 国土交通省のウェブサイトです。政策、報道発表資料、統計情報、各種申請手続きに関する情報などを掲載しています。 https://www.mlit.go.jp/page/kanbo01_hy_009804.html






Find Japan 編集部
Find Japan 編集部
FindJapan内部で日々行われている中国マーケティングの活動を取材し発見した情報を皆様にお届けします。中国マーケティング初心者なのでなるべくわかりやすくお伝えできればと思います。よろしくお願いします。
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