
2025年7月~9月 訪日中国人の買物代が減少!?
<目次>
2025年7月-9月の訪日外国人旅行者の消費状況
2025年10月15日に観光庁から【2025年7-9月期インバウンド消費動向調査】を下記のように発表しました。
【2025年7-9月期の訪日外国人旅行消費額は2兆1,310億円(2024年同期比11.1%増)と推計される。国籍・地域別では、中国が5,901億円(構成比27.7%)と最も大きく、次いで台湾3,020 億円(同14.2%)、米国2,215億円(同10.4%)、韓国2,070億円(同9.7%)、香港 1,139億円(同5.3%)の順である。】
表面的な数値は訪日数も消費額も増加傾向で順調に推移しているインバウンド市場ですが消費の中身に明らかに変化が生じています。
日経新聞は15日の記事で【訪日客、最速で3000万人超え 7〜9月消費額11%増も「質より量」懸念】というタイトルで記事を発表していますが実際はどのような事が起きていて日本メーカーは今後どのような対応が必要かをまとめたいと思います。
中国人訪日客の消費動向の変化
まずは2025年1月~9月までの(全地域・国)と(中国)の全消費額と買物代だけの消費額、及び1人あたりの消費額をまとめましたので下記図をご確認ください。
訪日中国人は訪日人数、消費額(買物代)いずれも全地域に対して高いシェアを持っています。日経新聞の記事で言及している【「質より量」懸念】という内容は下記データからもわかるとおり訪日中国人客の一人あたりの買物代が75,237円と大きく減少している事が原因です。
数値の変化が激しい中国訪日客の消費動向を参考にコロナ前2019年のデータも併記して下記図にまとめました。
「宿泊代」「飲食代」に関しては2019年と比較すると日本国内のインフレの影響で2025年は大きくなっていますが直近は大きな変化は確認できません。注目するべき点は一人あたりの買物代です。「宝石・貴金属」は7-9月伸びていますが全体的に単価が減少傾向にあります。市場へのヒアリングからも百貨店での高級品の販売不振が続いていますのでこの影響が顕著に出ていると考えます。
原因としては「不動産バブル崩壊」「トランプ関税」の影響で中国国内でのデフレの影響が大きいと思います。消費者はより安価な商品を選択する傾向にあります。ただし、高品質の商品を体験した消費者は安いだけではなく商品自体の価値を見定めよりコストパフォーマンスが良い商品を購入する傾向も強まっています。日本の小売企業などからのヒアリングによると高級ブランド品を取り扱う百貨店は苦戦している一方で、量販店やドラックストアなどはインバウンド売上は好調に推移しています。
日本メーカーの今後の中国戦略に関して
以前も言及しましたが、このような状況下でとるべき対策として、コスパ重視型高付加価値商品の販売強化が必要になります。現在の中国人消費者は安いものだけが売れているわけではなく品質を重視していますのでこのような商品の展開を強化することをお勧めします。
対応方法は復習になりますが下記に戦略をまとめておきます。
①プロモーションは訪日買物コンテンツを利用してエンゲージメントが高い配信を行う。
┗訪日買物コンテンツは中国国内では差別化でき小紅書(RED)を中心に効率が高い配信が行えます。商品自体のPRと合わせて日本からのコンテンツを混ぜて配信する。
②越境ECプラットフォームへ配荷を早めに行う
┗インバウンド消費と越境ECの関係性は以前に言及したとおり、高い関連性を持っていますが、中国国内では越境ECの仕組みが整備され購入ハードルが下がっているため早めに越境EC展開を開始する。
2026年版中国マーケティング資料を準備中です。しばらくお待ちください。
↓【参考データリンク】