1抖音(Douyin)2026年の現在地
MAU10億超・GMV4兆元超。店播がKOL配信を逆転し、ブランド自社運用が主流化しています。
抖音(Douyin)は中国バイトダンスが運営するショート動画プラットフォームです。TikTokとは別アプリで、中国国内専用のサービスとして展開されています。2026年現在、その規模は日本ブランドが無視できないレベルに達しています。
- MAU 10.01億(QuestMobile, 2025年3月)、1日平均使用時間1.55時間、DAU/MAU比率76.3%
- GMV 4兆元超、京東を抜き中国EC市場第3位に浮上
- TikTokとは別アプリ・別アカウント体系。中国国内専用プラットフォーム
特筆すべきは、GMV 4兆元超という数字が京東を上回り、中国EC市場で第3位に浮上した点です。淘天(約8兆元)・拼多多(約5.2兆元)に次ぐ規模であり、日本ブランドにとって無視できないプラットフォームとなっています。
22024〜2025年で何が変わったか — 3つの構造変化
この2年の3大変化は、①「全域興味EC」への進化、②貨架EC比率45%超、③抖音商城アプリの独立リリースです。
「興味EC」から「全域興味EC」への進化
従来の抖音ECは、ショート動画を見ていて偶然商品を発見して購入する「興味EC」が中心でした。しかし2024〜2025年にかけて、検索・モール・動画を統合した「全域興味EC」へと進化しています。
この変化を象徴するのが618セールの数字です。抖音商城GMVは前年比+77%、検索GMVは前年比+56%を記録しました。消費者が能動的に抖音内で商品を検索・比較するようになっており、単なる「動画視聴中の衝動買い」から「計画的な購買行動」へとシフトしています。
店播の台頭とKOL依存の終焉
最も重要な構造変化が、店播(ブランド自社ライブ)の台頭です。店播のGMVがダ播(KOLライブ)を2年連続で上回り、ブランド自社運用が主流化しています。
618では52万店舗の店播売上が倍増し、貨架EC比率は45%超に達しました。「KOLに頼めば売れる」という時代は終わり、ブランド自身がコンテンツを発信・運用する時代に移行しています。
| プラットフォーム | 推定GMV | 順位 |
|---|---|---|
| 淘天 | 約8兆元 | 1位 |
| 拼多多 | 約5.2兆元 | 2位 |
| 抖音 | 約4兆元超 | 3位 |
3日本ブランドの3つの活用パターン
日本ブランドのDouyin活用方法は3パターンに分類できます。KOLプロモーション(認知拡大型)、店播+EC(販売直結型)、インバウンド×買物攻略コンテンツです。
| 項目 | A: KOLプロモ | B: 店播+EC | C: インバウンド |
|---|---|---|---|
| 目的 | 認知拡大 | EC売上直接獲得 | 訪日購買促進 |
| 月額予算目安 | 5〜50万元 | 4,000〜30,000元+主播費 | コンテンツ制作費のみ |
| 向いている商材 | 化粧品・日用品・食品 | 高リピート商材 | 観光・小売・飲食 |
| KPI | 再生数・指名検索数 | GMV・ROI | 来店数・UGC数 |
| 期間 | 3〜6ヶ月 | 6〜12ヶ月 | キャンペーン単位 |
| 事例 | ANESSAフェーズ別戦略 | アクシージア618 TOP10 | ドラッグストア系 |
パターンA|KOLプロモーション
KOL/KOCに商品を提供し、動画レビューを投稿してもらう手法です。動画1本あたり500〜2,000元、佣金(成果報酬)は15〜30%が相場です。
KOC少量投稿でブランド認知を形成→中堅KOLで購買意欲を高める→トップKOLで爆発的な拡散というフェーズ別アプローチで段階的にブランドを構築しました。
向いている企業:初参入、月予算5〜50万元
パターンB|店播+Douyin EC
ブランド自社ライブ(店播)と抖音小店を組み合わせて直接販売する手法です。代運営で月4,000〜30,000元が目安となります。
- アクシージア:618アイケア部門TOP10を達成
- ETVOS:2022年から越境EC旗艦店を運営、継続的に売上を拡大
向いている企業:EC売上直結、月予算2〜10万元
パターンC|インバウンド×買物攻略
訪日中国人向けに店舗紹介・購入ガイドコンテンツを発信する手法です。EC構築が不要で最もローコストな参入方法です。
効果測定は来店数・UGC(ユーザー生成コンテンツ)で間接的に計測します。実店舗を持つ企業が中国人観光客の来店を促進するのに最適なパターンです。
向いている企業:実店舗中心、EC参入はまだ早い段階
4Douyin ECに取り組む際の4つの注意点
高い返品率への対策、中国語コンテンツの現地化、淘宝との併用設計、法規制対応の4点に注意が必要です。
返品率と淘宝・天猫との併用
ライブコマースは衝動買い比率が高く、返品率が高い傾向があります。2026年には退貨診断ツールの提供が開始され、返品原因の分析が容易になっています。
抖音は「興味の入口」、淘宝は「購入の受け皿」として併用するのが前提です。抖音で認知・興味を喚起し、検討層は淘宝・天猫の公式店舗で購入するという導線設計が効果的です。
中国語コンテンツと法規制
コンテンツ制作の鉄則
中国消費者は「直給+情緒共鳴」を好みます。冒頭3秒で結論を提示するのが鉄則です。日本式の「じっくり説明」スタイルは通用しません。AIGC素材生成ツール(毎日100〜200万素材)を活用することで制作コストを大幅に低減できます。
法規制対応
化粧品は薬監局(NMPA)への備案が必須です。「最高級」「治癒」などの絶対表現は禁止されています。また2025年12月から日本側も越境EC規制が強化され、授権代表の設置が義務化されています。
5自社に合った活用パターンの選び方
迷ったら「小額テスト→効果検証→本格投資」が鉄則。KOLテストか代理運営で市場反応を確認してから拡大しましょう。
予算規模別のおすすめ
① 先に検証→後で拡大。KOCテスト投稿や代理運営トライアルで市場反応を確認してから予算を増やす
② コンテンツ>広告投下。良質なコンテンツが口コミ資産として蓄積され、長期的なROIを高める
③ データで閉環をつくる。再生数・コメント・GMV・ROIを一元管理し、PDCAを高速で回す
KOCテスト投稿またはインバウンドコンテンツから始める。リスクを抑えながら市場反応を確認できる。
店播ECで直接販売しながら、KOLプロモーションで認知を拡大する二軸戦略が最も効果的。
- 技術サービス手数料0.6%減免
- 全カテゴリ佣金免除枠拡大
- 無料AIツール(AIGC素材生成)提供
よくある3つの判断ミス
KOLに予算集中
KOLのGMV貢献は約9%に低下しています。中堅KOL複数起用の方が費用対効果が高く、リスク分散にもなります。
日本クリエイティブの流用
日本向けの「じっくり説明」スタイルは中国では通用しません。冒頭3秒で結論を提示する中国式構成に作り替えることが必須です。
抖音だけで完結しようとする
抖音は「興味の入口」です。衝動買い層は抖音で、検討層は淘宝・天猫で取り込む設計にすることで、両方の購買層を獲得できます。
まとめ
2026年の抖音は店播の主流化と全域興味ECへの進化で、日本ブランドの選択肢が広がっています。
3パターンから自社に合った方法を選び、まずは小規模テストから始めることが成功への近道です。



